蜂の子とローヤルゼリーの違いはなに?

いずれも同じ蜂の生産物である蜂の子とローヤルゼリーには、含まれる成分の違いにより、得られる効能にも差があります。
この記事では、それぞれにどのような特徴があるのか、またどういった成分を含むのかなど、蜂の子とローヤルゼリーの違いについてご紹介します。

蜂の子について

蜂の幼虫やさなぎを指す蜂の子には、ミツバチのほか、スズメバチやアシナガバチ、クマバチなどの種類の幼虫もすべて含まれます。
中でもミツバチの女王バチや働きバチなどのメスは、ローヤルゼリーやハチミツの生産をおこなうため、主にオスの幼虫が蜂の子として利用されます。
日本では古来、蜂の子は山間部の地域を中心に貴重タンパク源として食されていたほか、中国では漢方としても利用されていました。
特に中国で最古とされる『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』という薬物学書では、無毒で長期間服用でき、不老長寿の作用があるとされる『上薬』として記されるほど、昔から高い薬効が認められています。

蜂の子に含まれる栄養成分とは?

蜂の子には、必須アミノ酸9種すべてを含む良質なタンパク質や炭水化物・脂質をはじめ、ビタミンB群やビタミンC、ミネラル類や脂肪酸などが含まれています。
アミノ酸は必須アミノ酸9種すべてを加えた18種を含み、多様な栄養素をバランスよく摂取できるのが特徴です。
海産物の採れない山間部地域において、蜂の子を貴重なタンパク源とした歴史があるのは、動物性食品のタンパク質にも劣らないアミノ酸の含有量にあると考えられています。

蜂の子に期待できる効能とは?

蜂の子に期待できる効果で特記すべきは、耳鳴りを伴う難聴の改善効果が挙げられます。
岐阜大学医学部付属病院の研究チームによりなされた報告では、『酵素分解蜂の子』の長期間の摂取によって、耳鳴りによる抑うつ症状や聞こえにくさが改善されることが明らかにされています。
また、ビタミン類やミネラル、アミノ酸の働きによる老化防止や免疫力の向上、疲労回復や体力増進といった効果が期待できます。
中国では約2,000年前から漢方に用いられてきた蜂の子は、当時から滋養強壮や若返りに効果があるとして重宝されてきました。
病原菌への抵抗力や脳の機能を高めるほか、加齢による肌のシワやたるみ、抜け毛など見た目の老化防止に役立ち、ハリのある肌やコシのある健康的な髪づくりに有効です。

ローヤルゼリーについて

ローヤルゼリーとは、羽化して1週間ほどの若い働きバチが花粉や花蜜を食べ、体内で分解したのちに咽頭線から分泌する、乳白色をしたクリーム状の物質をいいます。
毎日約1,500個もの卵を産む女王バチだけが食べる特別な食糧であることから、別名で『王乳』と呼ばれ、クセのある強い酸味を持つのが特徴です。
もともと卵の段階では、同じメスである女王バチと働きバチとに違いは全くありません。
しかし、孵化後3日目までワーカーゼリーを食べ、4日目以降はハチミツと花粉を食べるメスは働きバチとなり、孵化してから生涯ローヤルゼリーを食べつづけるメスは女王バチとなるのです。
成虫となった女王バチは、働きバチに比べ体長は2~3倍、寿命に至っては30~40倍にもなり、毎日大量の産卵をつづけられるという特徴や生命力を備えています。
その特異な性質を支えているのが、特別食であるローヤルゼリーが含む豊富な栄養素と考えられているのです。

ローヤルゼリーに含まれる成分とは?

ローヤルゼリーには、蜂の子と同じように三大栄養素やアミノ酸、各種ビタミンやミネラル類などがバランスよく含まれています。
とはいえ、ローヤルゼリーは9種の必須アミノ酸すべてに加え、非必須アミノ酸を15種含むほか、緑黄色野菜に含有量の多いビタミン類の葉酸を含んでいる点で蜂の子とは異なっています。
また、ほかの物質には存在しない『10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸』という特有成分を含むのが大きな特徴です。
脂肪酸の一種とされるこの成分は、ローヤルゼリーの酸味成分でもあり、含有量が高いほど高品質と判断する材料としても用いられています。

ローヤルゼリーから得られる効能とは?

ローヤルゼリーが含む栄養素の働きで得られる効能は多岐にわたり、主なものでは自律神経やホルモンバランスの整調、動脈硬化や心筋梗塞の予防、冷え性やむくみの改善といった効果が期待できます。
特有成分の10-ハイドロキシ-δ-2-デセン酸は女性ホルモンに似た作用を持つため、更年期特有の症状の緩和に効果的とされる以外に、肌荒れやニキビの改善にも有効とされています。

蜂の子かローヤルゼリーかを選ぶポイントとは?

蜂の子とローヤルゼリーとを比較すると、含有成分が若干異なるために、得られる効能にも差があります。
例えば、女性特有の症状の改善には、ホルモンバランスを整える効果に優れているローヤルゼリーを、耳の不調の改善により高い効果を求めたい場合には蜂の子を、といったような使い分けをするのが推奨されています。