蜂の子はどんな味がするの?

蜂の幼虫やさなぎなどの蜂の子は、一般に揚げ物や炒め物、甘露煮やご飯に混ぜるなどして食べられています。
その味といえば、甘みがあり白子のようだといわれたり、あっさりして白身魚のようだといわれたりしています。
人によっては抵抗感を覚える見た目でも、実際に食べるとおいしいという意見が多い蜂の子の味について、この記事では、蜂の種類や成長段階の違いの観点からご紹介します。

蜂の子は蜂の種類で味が異なる

一口に蜂の子といっても、種類の違いで味に優劣があるのが特徴です。
主に蜂の子として食用にされるのは、クロスズメバチなどのスズメバチ類ですが、常食している産地の人や蜂の子の食べ比べをした人によると、蜂の種類によって味が異なるといいます。

クロスズメバチ

蜂の子の種類の中でも、もっとも流通量が多いクロスズメバチの幼虫は、味も一番優れているとされ、ほかの種類の蜂よりさっぱりとした味で、ほんのりした甘みがあるといいます。
冷凍された未加工品のほか、佃煮や甘露煮などの加工品に主に利用されているのがクロスズメバチの蜂の子でもあります。

オオスズメバチ

スズメバチの中でもっとも大型の種のオオスズメバチは、成虫の体長が約3~4cm、大きいものでは5cmほどにもなります。
その蜂の子もほかの種に比べて大型なのが特徴で、甘みが強めで濃厚なバターのような風味がするとされ、特にさなぎには独特のクセがあり、好き嫌いが分かれるといいます。
主に熊本県や宮崎県の地方で食用にされる種で、歯ごたえがあるため、一般に串焼きや唐揚げ・素揚げにして食べられています。

ミツバチ

ミツバチの蜂の子は、上記2つの種よりクセがないため食べやすく、淡泊な味が特徴です。
上品でコクのある味をしており、人によって甘く感じる場合もあるといいます。
ミツバチの蜂の子が比較的食べやすい味をしているのは、働きバチが採取した花蜜や花粉でつくられるハチミツなどが幼虫に与えられるためと考えられています。
また、女王バチとなる一部の幼虫には、上記のほかにローヤルゼリーも与えられていたり、メスの蜂に比べ幼虫の期間が長いとされるオスの蜂は、その分栄養価の高い食糧が与えられたりしているため、よりおいしさを感じるといいます。

アシナガバチ

スズメバチ類に属するアシナガバチの蜂の子も、古くは日本各地で食用にされていましたが、農作物に被害を与えるモンシロチョウの幼虫を食べるため、現在ではほかのスズメバチとは違い益虫として扱われています。
そのため、駆除の一環として食用にされる機会が少なくなっているのが現状です。
肝心の味は「小型ながら甘みがある」という意見がある一方で、「おいしくなく食用に向かない」という声が少なからずあります。

蜂の成長段階による味の違い

蜂の子は前述のような種類の蜂の巣から採取され、その内部には幼虫やさなぎのほか、幼虫からさなぎになる直前の前蛹(ぜんよう)、羽化するまぎわのほぼ成虫の状態など、成長段階の異なる個体が混ざって生息しています。
この違いにより、味や食感にも違いが現れるのです。
一般的に、体内に大きな内蔵部分がある幼虫にはクセがあり、前蛹がもっともおいしく、さなぎはクセもなくあっさりしたうまみがあるとされています。

幼虫

蜂の子の幼虫は、白身魚に似た淡泊な味ながら、甘みが強いともいいます。
加熱すると木くずのような香ばしい匂いが漂い、ほかの成長段階のものに比べてクセがあるのはいえ、他種の昆虫と比較すると非常に美味という意見があります。
蜂の子のさなぎなど比べて幼虫にはクセがあるのは、その体内の中心にある黒くて大きな内臓部分が原因です。
その中には、食糧として与えられた昆虫の殻や、幼虫の排泄物が入っていて、これらが食感の悪さや苦みなどのクセをもたらします。
そのため、幼虫本来の味を楽しむには、食べる前にあらかじめ下処理しておくのがおすすめです。
軽く下ゆでしてから1匹ずつ手作業で内臓を取り出すほか、10分ほどゆでたりフライパンで炒めたりすると内臓部分が飛び出してくるのを利用して取り除く方法があります。

前蛹

幼虫が前蛹になる段階には、独特のクセの原因となる内臓のすべての内容物を体外へと排泄します。
そのため、前蛹やさなぎになると内臓部分が存在しないので食感もなめらかになり、よりおいしく感じられます。
前蛹はカニ味噌やウニのような濃厚で強いうまみがあるという意見があり、シンプルにわさび醤油でいただく方法もあるようです。
この濃厚さが好みの人の場合、前蛹がもっともおいしいという意見が見られます。

さなぎ

さなぎの段階では、濃厚なうまみが減って淡泊になり、豆腐のようにあっさりした味わいになるといいます。
濃厚さがあまり得意でない人の場合、穀物のような香りが漂うさなぎを一番好むという意見が見られます。
なお、さなぎから成虫に近づくにつれ、ほとんど見た目が蜂そのものになり、食感も小エビなどに例えられるサクサクとした食感が生まれ、揚げ物にすると香ばしくよりおいしくいただけるといいます。

蜂の子を味わう際の注意点

実際に蜂の子を食べた人の経験談の中には、生食した場合の味の意見も見られますが、蜂の子は必ず加熱してから食べるのをおすすめします。
病原菌や雑菌、寄生虫が潜んでいる可能性があるため、産地などで生のままの蜂の子が入手できた場合でも、加熱調理してから食べましょう。